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RubyWorld Conference 2015 開催趣意書

第7回目のRubyWorld Conferenceが開催されます。今年はキーノートスピーカーとして、世界各国でプログラミングへの女性の参加を呼びかける活動「Rails Girls」の提唱者であるLinda Liukas氏を招待してます。Lindaは、男性中心ではからずも閉鎖的になりがちなIT業界を、よりオープンで多様なものにするために働き続けています。彼女はまた子供がプログラミングを学ぶための絵本「Hello Ruby」を執筆中です。多様性とそこから生まれる「新しいもの」について彼女の言葉から学べるに違いありません。

多様性はなかなか難しいテーマです。純粋に効率だけを考えると様々なものが入り混じり、時には衝突する多様性に満ちた状態はコストを生むだけです。効率向上のためには画一化された規格と統一された意志が鍵になります。しかし、このような効率向上が有効なのは、あらかじめなにが起きるのかはっきりわかっている、予想可能な未来においてだけです。未来が予想できない時、なんとなく閉塞感を感じる時、さらなる成長のために新しい風が必要な時、それまでコストにしか見えなかった多様性がたちまちイノベーションの源泉となるのです。

思えば「多様性」というのは、Rubyにおける大きなテーマでした。Rubyが生まれた1993年においてもPythonやSchemeといった「筋の良さそうな」プログラミング言語はすでに存在しており、効率だけを感じると「別の言語」は必要ではありませんでした。Rubyが生まれたのは効率の追求ではなく、ひとりのプログラマの留めることができなかった内なるモチベーションの発露だったのです。Rubyはたまたま時代に恵まれて成功しましたが、たとえ歴史のいたずらで現在のような成功を収めなかったとしても、プログラミング言語の多様性の歴史に1ページを刻んだに違いありません。

IT業界というのは動きの速い世界です。常に新しい技術、新しいトレンドが生まれ続けています。このような世界では、未来の予測は非常に困難であり、常にイノベーションが要求されます。このような業界でこそ多様性が求められます。RubyWorld Conferenceが、多様性の大切さを学ぶ機会となるように、また私たちの心に潜む多様性への恐れに打ち勝つ機会となるように心から願っております。

RubyWorld Conference 開催実行委員会
委員長 まつもと ゆきひろ

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